KHJ高知県やいろ鳥の会

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私たちの声


~ひきこもり整体師のひとりごと~

令和4年2月第4回

自己紹介:楠永洋介
小学校3~4年を不登校、次いで中学校1年2学期~2年生を不登校、義務教育期間中は正味5年程しか登校していません。定時制高校を卒業後、進学、卒業を拒否して祖父の遺したお金でネットスクールや、ワークショップ、FXなどを経験してお金を溶かしました。なんやかんやあって結婚後、2人の子供を授かる。現在、農業、整体業、塾講師等で生計を立てる。

いつもお世話になっています。楠永です。

最近重い話が多かったので今回はライトな楽しめのお話を。読んだあと自分でチャレンジしてみるのも面白いかもです。では早速。

クラフトしよう。

竹で箸を作ったり、紐を編んでみたり、まあ他にもかぎ針編みとか、いろいろ作るのが好きなのですが。というのも、ひきこもり時代お金は無いが時間はあったので、「やれることは自分で」と思いバイクのオイル交換からズボンの繕いやら作成やらを自分でやってみたりしていました。それはどうせお金を払って外注(既製品を購入)するならその手間を味わってみたいという思いがあったから。

 最近は竹を伐ってきての竹箸作りがマイブームだった。実は火起こしなんかも自分で「火を作る」という事においてはクラフトワークだと認識している。

作業工程とか

 竹箸は以前伐っていた竹を鉈で割り、2膳ほど作ってみた。竹を割る際は竹割り包丁とか言われる専門の道具があるが、まあホームセンターで売っている両刃の鉈で刃渡りが竹の直径より大きければ十分だと思う。

 刃物には片刃と両刃があり、その違いは刃物を裏と表と分けた(仮に刃物を持った時、自分の親指がある方を表、手の甲側を裏とした)場合どちらか片側から角度(刃)を付けた物を【片刃】と言い、表裏両側から角度(刃)を付けたものを【両刃】と言う。機能としての違いは片刃は対象に喰い込んで行くように刃が入る。両刃にはそういう働きは無い。が、無いからこそ両刃は対象を割ったりするのには向く。また両側から刃がついているので、裏と表両方を使えるのも両刃の大きなメリットだ。片刃はその働きから削る等の作業には適している。削る対象に水平に近い形で刃を当てても片刃なら削る事が出来る。両刃を同じ様に使うと刃が浮いてしまい削る事ができない。

 今回割る時に使ったのは【うなぎ鉈】と呼ばれる種類のもので刃渡りは30cm弱。以前納屋で眠っていたものを引っ張り出してきて以来気に入っているものだ。

半分に割る前にだいたい箸の長さ(よりやや長い程度)に竹を切っておく、半分に割った物を端から割れば、大体の形が見えてくる。

 ここから先は道具を変える。今回使ったのは【オルファリミテッドシリーズクラフトナイフ(リミテッドCK)】というもので、OLFAのクラフトナイフL型の替刃を着けて使うものだが、ホームセンター等でよく見る金属のグリップのものよりもグリップ部が大きく、力を入れやすい。高知で買うなら葛島にある『文具生活』に在庫があるようだ。これも切れ味等含めてお気に入りである。

このナイフで割った竹を削り出していく。伐ってすぐの竹だと削りやすいが、しばらく経ち乾燥が進むと堅くなり思わく刃が入り過ぎる時がある、そうなりそうな時は水を張った桶に竹を放り込んで少し置くと水を吸い柔らかくなり、簡単に削る事が出来る。

箸の感触と仕上げ

 切れ味の良い刃物で薄く、少しずつ木を削り出し、自分の納得いく形に近づけていくのはなんとも言い難い快感がある。最後の方は少し削っては持ち感触を確かめ、また少し削る。そしてまた持ってみる。の繰り返しである。ほんの僅かな削り様で持つ感触は確かに変わる、それが面白いのだ。

 そうして納得のいく形になった箸の仕上げとして表面処理を行いたいと考えた(傷むのも嫌なので)。表面処理【ニス】と言っても口に入れる物なので、工作用等は使いたくない。以前鉄鍋を【シーズニング】した時に植物油の性質について調べた事があった。植物油には【ヨウ素価】と呼ばれるステータスがあり、この値よって【不乾性油】、【半乾性油】、【乾性油】と分けられヨウ素価130以上のものが乾性油となる、乾性油は常温にて固まる性質を持ち、これを表面へ塗り乾燥。という工程を何度か繰り返せばなんとかなりそうだと思った。

 ただヨウ素価130というのは亜麻仁油(アマニオイル)や大豆油などだが、これらはなかなかお目にかからない。(スーパー行けばあるのかもですが)いろいろ調べてみるとサラダ油とは菜種油の事でヨウ素価おおよそ100前後で【半乾性油】というものらしく、シーズニングなどに使っても構わないという人もおりましたので、今回はサラダ油を仕上げとして二度ほど塗りました。しばらく使い、食器と一緒に洗っておりますが、不都合はありません。

所感

 仕上げ近くになり少し削っては感触を確かめ、愉しんでいた時、以前読んだ「失われた手仕事の思想」という本の内容を思い出した。

 昔、多くの物が手仕事により作られていた頃、農機具の鍬(クワ)等はその地域の鍛冶屋によって全てオーダーメイドで作られていたようだ。「もう少し角度を、反りを、重心を」という使い手の要望に鍛冶屋は答えていたそうだ。僕も鍬を使った事があるから感じるが、手に馴染む道具は本当に疲れ方が違う。それは鍬の重心や自分の重心、身体の使い方の癖によって顕在化してくる。その後鍛冶屋は安価なそこそこ使える鍬の大量生産によってその立場を無くしていき、今では数少ない職となった。

 まだムラの鍛冶屋が現役だった時の僅かな身体の違和感を感じ取ることの出来る人間と、現在に生きる量販品に身体を合わせた人間とでは自身の体に対する理解は大きく違いそうだ。

 どっちが良いと言う事では無く、得る物が多ければ、失う物もまた少なくは無いと言うだけの話なのだが。

 箸を一つ作っても自分に合う箸はなかなか作れないし、それを他人に渡してみると、「あまり良くない」という感想が返ってくる。一人ひとり身体も癖も歴史も違うから当たり前なのだが、『自分の良いは他人も良い』というある種幻想の様な希望的観測を箸一つ作ることで打ち砕く事が出来るのは面白い体験だった。

御礼

ここまで読んで頂き、本当にありがとうございます。なんとか入稿出来ました。2週間ほどかけてチマチマと書いたのでなんだかリズムが一貫せず読みにくい文章になってしまいました。申し訳ないです。また色んな事に「へぇ」と思って頂きたくて、色んな「キーワード」を散りばめてみました。来月もよろしくお願いいたします。

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